研究概要 |
ムギネ酸生合成に関わる遺伝子をクローニングするために,以下の三方面から研究を進めてきた.(1)ニコチアナミン合成酵素(NAS)とニコチアナミンアミノ基転移酵素(NAAT)を種々のカラム操作により部分精製した.NASに関して,2D-PAGE上の酵素活性スポットを電気抽出し,N末端アミノ基を決定しようとしたがブロックされていた.プロテアーゼによる部分分解のためにはさらに大量のサンプルが必要である.一方,NAATに関しては,精製を進めるうちに,酵素がアイソザイムであることが判明した.活性画分と思われるスポットのアミノ酸配列を15残基決定したが,中に未知のアミノ酸(Trp,Cys,Met)が存在し,有効なヌクレオチドプローブ用の領域が得られていない.また,精製を進めていくうちに,このアミノ酸配列に使ったペプチドは,本命でない可能性が出てきた.そこで,部分精製画分で抗体を作製して,発現ベクターから遺伝子のクローニングを行っている.(2)鉄欠乏条件下で特異的に出現する2D-PAGE上のペプチドの部分配列を決定した.現在この遺伝子をクローニングしている.(3)鉄欠乏条件下で特異的に発現している遺伝子7個をクローニングした.そのうちの3個について,核DNAの全塩基配列を決定した.Ids3はdioxygenaseの配列を有し,コムギ-オオムギ染色体添加系列を用いたノーザンハイブリダイゼイションの結果から,ムギネ酸合成酵素である可能性が高い.
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