研究課題/領域番号 |
04210108
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郡司 篤晃 東京大学, 医学部(医), 教授 (40075297)
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研究分担者 |
古川 俊之 国立大阪病院, 院長 (20101082)
橋本 廸生 東京大学, 医学部, 助手 (00134528)
養老 孟司 東京大学, 医学部, 教授 (40009981)
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キーワード | 老人医療費 / 医療費決定要因 / 寝たきり患者 / 日本人の身体観 / 解剖標本展示 / 長寿化因子 / クラスター分析 / 医療水準指標 |
研究概要 |
人口の高齢化と医療需要:老人医療費の顕著な地域差が、医療供給量により決まる傾向を、寝たきり高齢者の実態調査から分析した。地域の医療費決定要因ごとに、寝たきり患者につき、(1)変動係数比較、(2)重回帰分析、(3)レセプト分析、(4)医療供給要素などによる費用の記述などから検討し、医療費地域差は外来受療率を除いてほとんどが医療供給側の要素により決まることを示した。先進国では医療技術高度化と医療費高騰の因果分析、とくに効用および規範的分析評価の概念を導入するのが急務である。(郡司篤晃、橋本廸生) 日本人の身体観-解剖標本展示のために:解剖への献体、治療としての臓器移植などに対する理性的対応を考えて、日本人の身体観を明らかにするため、歴史的美術史資料を調査した。鎌倉時代から江戸時代に描かれた「九相詩」「卒塔婆小町」「六道絵」「九相詩絵巻」などには、死体の腐敗過程をよく観察した描写があり、過去の日本人の有した身体観とその背景にあった知識を反映している。東大解剖学教室で進めている新しい人体標本制作の手法・プラスティネーション標本を整備し、展示公開して一般社会における身体理解の一助とするため、日本民族に特有の身体観の由来を、とくにその歴史的解明を中心に実証的研究を行なった。(養老孟司、布施英利) 平均寿命の横断的国際比較:近年の国際的長寿化に寄与した因子を、クラスター分析の経年変化に注目して調査した。1970年、1980年、1990年の国際統計データについて、(1)平均寿命、富、情報のクラスターは調査期間のすべてに存在する。(2)死亡率、出生率、文盲率のクラスターも不変。1975〜1980年には医師1人当り人口、病床当り人口と、これとの関係が認められるが、1970年および1990年の分析では医療水準指標が逸出している。1970年は途上国の遅れ、1990年の医療水準と死亡率の解離は、先進国における医療変容、とくに高度先進医療の負担増と治療からケアへの転換の影響が想定される。(3)商工業活動指標の多くは独立のクラスターとなる。(古川俊之)
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