研究課題/領域番号 |
04210109
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣松 毅 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (80012491)
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研究分担者 |
本山 澄夫 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (70013711)
大平 純彦 静岡県立大学, 経営情報学部, 助教授 (20194285)
縄田 和満 東京大学, 教養学部, 助教授 (00218067)
庄田 安豐 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40245353)
和合 肇 富山大学, 経済学部, 教授 (00091934)
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キーワード | リーディング・インダストリ / 長期波動理論 / コンドラチェフ理論 / プロダクトサイクル論 / ヘゲモニー循環論 / 雁行形態論 / 内生的技術進歩 / 革新的技術の出現 |
研究概要 |
本研究では、先端科学技術が経済発展・経済成長に与える影響を分析するために、前年度において、日本の戦後の経済発展を中心にサーベイを行うとともにキーコンセプトとして「リーディング・インダストリ」を抽出した。今年度は、それを受けてプロダクトサイクル論と雁行形態論の立場から技術と長期波動の関係を再検討するとともに、日本の鉄鋼業と錦糸工業を取り上げ、それらに関するケース・スタディーを行った。 長期の波動理論として、コンドラチェフ、クズネッツ、シュンペータなどが提起した考え方が著名である。特にコンドラチェフの長期波動理論はその先駆的な業績の故に議論の出発点となっているが、その評価は様々である。長期波動理論に属する考え方は、コンドラチェフ理論だけではなく、日本では赤松の雁行形態論が戦前から提唱されており、戦後ではバーノンのプロダクトサイクル論がある。最近ではケネディによりヘゲモニー循環論も提示されている。 以上のような諸理論を比較、再検討した結果、次のようなことが明らかになった。 (1)様々な長期波動理論をどのように統一的に理解するかについては、コンドラチェフの理論がマクロの現象に注目しているに対し、雁行形態論やプロダクトサイクル論は長期波動のミクロ、セミマクロ理論とみなすことができること、 (2)コンドラチェフの理論では、革新的技術の出現が長期波動の主因とされているが、その出現の内生的要因の説明には説得力が乏しいのに対して、雁行形態論やプロダクトサイクル論にはコンドラチェフの理論の弱点を補完する性格を有していること。 さらに、日本の鉄鋼業と錦糸工業に関するケース・スタディーを行い、以上の点を確認することを試みた。
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