研究課題/領域番号 |
04210152
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
山田 辰雄 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (50051488)
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研究分担者 |
池田 明由 東海大学, 教養学部, 講師 (60222874)
橋本 芳一 慶應義塾大学, 地域研究センター, 客員所員
下郷 太郎 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (30051147)
高橋 路子 北里研究所病院, 医長 (80124254)
香川 順 東京女子医科大学, 教授 (90055955)
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キーワード | 四川省成都市 / 産業生産技術の比較 / 疫学調査 / 環境保全 / 大気汚染測定 / 大気汚染の他都市との比較 / 室内汚染測定 |
研究概要 |
本年度は、これまでの調査結果の取りまとめを行い、また研究成果を中国側の認識と理解を深めることをも目標の一つとした。 産業連関表を用いて、成都市の産業構造と大気汚染の関係を分析した。成都市では、SO_2汚染防止のために有効な天然ガスの消費構成が高いにもかかわらず、石炭の硫黄含有率が高いために大気汚染が生み出すれている状況が分かった。産業別に見ても、窯業、製紙業などの石炭使用料の高い産業ほどSO_2の排出への寄与率が高い。成都市の工場は同じ分野に属するものでも生産単位当たりのSO_2放出はかなり異なり、ある工場では日本のデータに近く、別の工場では日本のデータの80倍を上回るものもある。 疫学調査結果では、各種呼吸器症状の有症率には地域差があり、更に成人では喫煙習慣の影響も有症率に影響を与えた。呼吸器症状の有症率に関する因子には喫煙、受動喫煙、暖房器具や厨房器具からの室内空気汚染、素因など多くのものがあるので、これらの因子別に層化して更に解析した。成人では喫煙の影響が強く見られた。児童については、石炭ストーブの非排気型の物を用いる家庭の子供は男女共に持続性の咳が認められた。 これらを含む研究班の研究結果は、1993年10月に成都市において開催された研究成果発表会で発表され、成都市当局が編成した『審査委員会』からも非常に良い結果として評価された。発表会では成都市は今回の調査研究結果を踏まえて、環境モデル都市として整備を行い、中国諸都市の環境整備の手本となることの期待を表明した。本研究班は来年度以降、この線に沿った調査研究を継続する予定である。
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