研究課題/領域番号 |
04211124
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
堀江 湛 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (00051219)
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研究分担者 |
岩渕 美克 聖学院大学, 政治経済学部, 専任講師 (70213311)
谷藤 悦史 早稲田大学, 政治経済学部, 助教授 (30163637)
岩井 奉信 常磐大学, 人間科学部, 教授 (10160079)
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キーワード | 情報化 / 政治情報 / 政治意識 / 政治の不透明感 / 予測報道 / 投票行動 |
研究概要 |
本年度は、7月に行われた参議院選挙の公示期間に社会調査を実施し、政治意識、世論形成過程、選挙における情報化のインパクトを実証的かつ総合的に明らかにした。具体的には、前年度の政治家に対する郵送調査(政治情報の送り手)を踏まえて有権者の社会調査(政治情報の受け手)を行い、情報化が受け手にどのような影響を与えているのかを総合的に分析した。 前年度の研究から、政治過程における情報化は社会のさまざまな分野の中でも最も遅滞しているもののひとつであることが明らかになっていた。一方、本年度の研究から政治に対する有権者の意識は、新規参入メディアと政治情報に対する期待と評価が高くなっており、政治家の認識とはズレがあった。例えば、政治家が情報提供の手段として有効であると考えるメディア(郵便、電話等)はいわば伝統的なメディアであるのに対し、有権者が入手手段として有効であると考えるメディア(テレビ等)は比較的新しいメディアであり、両者の間には大きな差があるということが明らかになった。このことは、単に情報化に対する政治家、有権者の対応、認識の違いというだけでなく、現代の情報化に伴う問題点として指摘される政治の不透明感、政治家と有権者のかい離や政治不信の一因となっているのではないかと考えられる(この結果は、日本マス・コミュニケーション学会秋季研究発表会において報告した)。また送り手のメッセージに関する分析では投票行動との関係において、無党脈層の有権者の投票候補者の決定に予測報道が影響を与えているであろうことが実証的に明らかにされた。なお、現在もこれら調査結果を詳細に分析中である。
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