研究課題/領域番号 |
04212101
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小泉 格 北海道大学, 理学部, 教授 (20029721)
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研究分担者 |
加藤 道雄 金沢大学, 教養部, 助教授 (10093741)
原田 憲一 山形大学, 理学部, 助教授 (90134147)
多田 隆治 東京大学, 理学部, 助教授 (30143366)
高山 俊昭 金沢大学, 教養部, 教授 (40004361)
大場 忠道 北海道大学, 地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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キーワード | 日本海 / 三方五湖 / 湖底堆積物 / 縄文人 / 気候変動 / 環境悪化 / 対馬暖流 / 近未来予測 |
研究概要 |
水月湖の湖底堆積物を分析して過去1万年間の地震、風成塵・海水準・乾湿変動を検討した。中国大陸、朝鮮半島、日本の寒暖・乾湿変動の時間的経過が、亜熱帯高気圧域と中緯度偏西風帯の境界に位置するポーラーフロントの北上・南下と、ブロッキング高気圧の形成による季節風の吹き出しによって決定されていることを明らかにした。 縄文人の狩猟採集の生活基盤であった森林とラグーンにおける自然環境変動を対馬暖流が沖合を流れる三方五湖を例として、人間生活との関係を考察した。とくに注目されることは、縄文人の集落(例、鳥浜貝塚)の盛衰が、寒暖・乾湿変動によって生じた洪水や地震・津波などの自然災害の影響を強く受けている可能性が大きいことを明らかにした。すなわち、グローバルな気候変動による海水準の低下は対馬暖流の流入量減少を招いて降雪量の減少・森林の荒廃、狩猟採集の基盤であるラグーンの環境悪化を招いたと考えられる。 日本近海から採取したピストンコア中の珪藻遺骸群集の解析から、1)日本海への対馬暖流の流入は鬼界-アカホヤ火山灰(6300年)層準でピークとなり5500年頃まで続いた後、4500年頃、3500年頃、1500年頃、および500年頃に弱くなる。2)日本海の隠岐堆(L3)では過去6500年間を通じて対馬暖流の流れに1890年の周期性が観測され、その強さは250年前以降300年後まで弱くなりつつある。3)太平洋南岸(C4)の過去6500年間を通じては黒潮の流れに1700年の周期性が観測され、その強さは300年前から弱くなりつつあり、同じペースで100年後まで続く。4)太平洋混合水域(C1)では過去6500年間を通じて黒潮と親潮の勢力に1800年の周期性が観測される。100年前からわずかな温暖化が始まっており、400年後まで継続するが、この200年間はほとんど横這い状態である。
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