研究課題/領域番号 |
04212117
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
速水 融 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (40051164)
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研究分担者 |
上田 信 立教大学, 文学部, 助教授 (90151802)
古田 和子 東洋英和女学院大学, 人文学部, 助教授 (20173536)
岡田 あおい 帝京大学, 文学部, 専任講師 (50246005)
田代 和生 慶応義塾大学, 文学部, 教授 (50072426)
小野 芳彦 国際日本文化研究センター研究部, 助教授 (20126022)
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キーワード | 人口変動 / 環境 / 前近代日本 / 前近代中国 / 餓飢 / 都市人口 / 農村人口 |
研究概要 |
1.長期的巨視的人口変動にについては、主として従来の研究成果に依拠しながら、日本と中国に関して、大づかみな趨勢を描くことが可能になった。その結果、日本においては17世紀の増大、18世紀の停滞、19世紀の再増大が、中国においては、16世紀の増大、17世紀の停滞、18・19世紀の増大がみとめられ、時間差をもって、両国では工業化以前に3倍から4倍に達する増大のあったことが確認された。これが共通の要因によるものなのか否かについいての解明は、今後に残された重要な研究課題である。 2.短期的人口変動については、個別史科の得られる18世紀の東北日本に関し、宝暦・天明の飢饉時の人口変動の内容を中心に検討したが、太平洋側の諸地域の減少が著しく、とくに出生率が低下したこと、および、高齢者の死亡率が上昇したことが認められた。出生率が低下したので、この地域の人口の回復は遅れることになる。会津、郡山およびその周辺農村には、良質の人口史科が残存しており、将来の分析結果が期待される。 3.都市化と人口変動との関係については、近畿地方の都市、京都、大阪、奈良、高砂(播州)の史科から、都市人口の持つ性質、男女比のアンバランス、高い独身率、低い出生率、高い死亡率、居住の不安定性などが検出され、付近農村から大量の人口の流入がなければ、人口の維持すら不可能であることが検証できた。 4.以上の観察結果を総合すると、日本でも中国でも、人口変動には地域的な違いがあり、かつ、長期的には増大していても、タイムラグがあることがはっきりした。個々の研究は、完全に達成された訳ではなく、むしろ、今後実施すべき研究課題が明らかになった点もあるが、なかでも、日本と同様の「記名型史科」を有する中国(遼寧省)、オットマン帝国、ベルギー、スェーデンとの比較研究の必要性が見出されたことの意味は大きい。
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