研究課題/領域番号 |
04212118
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研究機関 | 国際日本文化研究センター |
研究代表者 |
埴原 和郎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (70011707)
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研究分担者 |
尾本 恵市 東京大学, 理学部, 教授 (10011503)
日沼 頼夫 シオノギ医科学研究所, 所長
田名部 雄一 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30021679)
吉崎 昌一 北海道大学, 文学部, 教授 (20001745)
佐々木 高明 国立民族学博物館, 教授 (10031692)
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キーワード | 小進化 / 民族移動 / 環境変動 / 頭骨計測値 / データベース |
研究概要 |
本研究課題のもとに平成4年度に行われた研究の概要は次のとおりである。 (1)頭骨計測値データベースの構築。 新たに72集団、約1200個体のデータを入力した。 (2)頭骨計測値に基づく研究。 a)縄文人と太平洋民族はともに東南アジアの原アジア集団を祖先集団とし、それぞれの地域に移動した後に独自の適応を行った。また原アジア集団は東南アジアの熱帯降雨林に適応し、新石器時代までに少なくとも中国南部まで広がった。 b)南・北アジアの集団は新石器時代までにはかなりの程度分化していた。したがって弥生時代から北アジア系集団が日本列島に移動し、南アジア系の縄文人に大きな影響を与えたことが再確認された。 c)アイヌと沖縄人はともに縄文人を祖先とし、北アジア系集団の影響を受けることが少なかった。これに対して本土日本人は北アジア系集団の影響を強く受けた。また中世のエミシは、縄文人の系統を濃厚に残した集団である。 (3)遺伝学的研究。 a)縄文時代前期には、東南アジア系の集団が少なくとも関東地方にまで北上していた。 b)縄文時代の後期または弥生時代の中・後期に中国南部より、おそらく琉球列島を通って西南日本に達した民族移動があったと思われる。 c)弥生・古墳時代を通じて、朝鮮半島経由で西日本に渡来した大規模な民族移動があったことは、多くの遺伝学的証拠によって裏づけられる。 (4)ATLV保有者の研究。 日本・アジア各地のデータのほか、新たに調査された南米諸国のデータを加え、アジア系集団のアメリカ大陸への移動を調査している。 (5)古環境の研究。 日本文化の形成と古環境との関連について分析を進めている。
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