研究課題
本年度は、各研究者が自らの仮説の検証に取り組んだ。研究班としては、日常の交流・議論以外に天川班など他班との合同合宿で研究会や聞き取りを行い、研究の統合と充実を図った。内容的には、第一年度がもっぱら社会集団の基層レベルの分析に集中したのに対し、本年度は、徐々に視界を上層レベルにまで拡げた。すなわち、五百旗頭の総合的な調整の下、辻中が団体全般、細谷が財界・経済団体、宮崎が農業団体をそれぞれ分担し保革両党の支持基盤をなす社会集団の分析を発展させ、田所・御厨が団体の政策的対応の研究を深化させる一方で、品田・宮崎・リード(途中参加)が社会党統一と保守合同の過程や両政党の組織・人事・政策・選挙などの検討を行なうべく、資料収集とその整理や分析に精力を注いできた。これにより、昨年度からの社会集団研究を充実・発展させると同時に、政党レベルでの政治過程の分析を進捗させることができた。これは最終年度における両レベルでの研究の発展・統合による55年体制の政治学的な解明に向けての準備が十分に整ったことを意味している。班の具体的な資料収集活動としては、上住充弘、河上民雄の両氏から日本社会党の1950年代から70年代にかけての活動や内情を詳しく聞いた他、戦後の山形県政についてのインタビュー(宮崎)や詳細な選挙統計の入力・加工(品田)をも行なった。これらの資料に基づく研究の成果は、全体の研究集会における辻中報告「戦後日本における団体の時系列的比較分析」や夏期に行なった研究会合宿(8月4・5日、於:浜松)での品田報告「投票行動に見る55年体制形成期-衆議院総選挙市区町村統計の分析1947年〜1955年-」で発表された他、別紙(様式5)に示すように、細谷や品田の研究論文にまとめられている。
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