研究課題/領域番号 |
04213108
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
五百旗頭 真 神戸大学, 法学部, 教授 (10033747)
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研究分担者 |
辻中 豊 筑波大学, 社会科学系, 助教授 (70145944)
REED Steven 中央大学, 総合政策学部, 教授 (10256018)
御厨 貴 東京都立大学, 法学部, 教授 (00092338)
宮崎 隆次 千葉大学, 法経学部, 教授 (10113870)
久米 郁男 神戸大学, 法学部, 教授 (30195523)
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キーワード | 戦後日本 / 吉田ドクトリン / 55年体制 / 平和と民主主義 / 改憲再軍備 / イデオロギー対決 / 利益民主主義 / 60年安保 |
研究概要 |
戦後体制が大きな起伏と輻輳を伴いつつ形成された1950年代について多角的に調査研究した結果、細部の実証とともに全体像をかなり概念化できる段階に達した。 占領改革の所産たる憲法体制の上に、吉田茂は講和に際し日米安保体制を重ねた。それは冷戦環境下で日本が西側に帰属することを鮮明にしつつ、自由貿易体制への参与を通して通商国家として再生する選択を含意た(吉田ドクトリン)。 独立後55年体制形成期の日本政治は「反吉田」を暗部の動因とし、鳩山・石橋内閣は米国以外に外交的地平を拡げる途を模索した。同時に吉田の経済中心主義に対し「改憲再軍備」を掲げ伝統的ナショナリズムの再生を尋ねた。それを一層果敢に試みたのが岸内閣であったが、「平和と民主主義」を掲げる革新勢力は激しく反発し、二極化するイデオロギー対決が50年代後半の外見上の主要な特徴となった。 鳩山から岸政権までを、権力構造の再強化を図る国家主義的時代とまとめうるが、実は複雑な不連続面が走っている。日米体制から見れば、東側陣営との関係改善を追求する鳩山・石橋と、対米関係の深化からさらなる利益を引き出す岸とは正反対に近い。ワシントンはそう見ており、そのことが国内の革新側ナショナリズムの岸とは正反対に近い。ワシントンはそう見ており、そのことが国内の革新側ナショナリズムの岸への批判を強化した。 経済政策について、吉田・池田が主に大蔵省を用い金融政策を通じて総資本の存続と体質強化を課題としていたとすれば、鳩山から岸らは通産省等を使って中小企業育成や福祉政策にも熱心であり、ポピュリスト的な利益民主主義の形成を促進した。こうした国内政策の重点の変化は戦後政治体制を固めるうえで無視しがたい要因であることが、社会集団・利益団体の側からの研究を通しても認識された。
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