研究概要 |
1993年度は,昨年度の成果を踏まえて,次のような活動を行った。 まず資料収集については,外務省公開文書のマイクロフィルムを始め,様々な基礎資料の収集に力を入れたほか,国内でアメリカ関係の資料では最も充実している同志社大学アメリカ研究所を訪問し,資料の補強に努めた。また,北岡,石井,森山,坂元が科学研究費国際学術調査その他によって米,英,カナダ,韓国に行き,資料収集を行った。「戦後形成〕の他の班のメンバーに依頼して,海外で資料を入手してもらったこともある。 次にインタビューについては,ダグラス・マッカーサー二世(元駐日大使),岸信介関係者,椎名悦三郎関係者について行った。また,戦後外務省の内部の様子を知るため,若干の関係者のインタビューを行った。しかし,予定よりもやや遅れ気味であり,また,公開を好まぬ人もあり,良い資料を残せるかどうか,やや流動的な面もある。 研究会については,戦後外交について最近ユニークな成果を挙げた人を招く研究会を数回開いた。また,この「戦後外交」班を中心に,他の班のメンバーを加え,さらに「戦後形成」以外の研究者をも加えて成果を刊行する準備を進めている。そのための研究会を,合宿形成のものを含め,やはり数回開いた。今年の秋には,山川出版社より,『年報・近代日本研究』第16号という形で刊行される予定である。 既発表の個別研究は,別紙の通りであるが,それ以外に,北岡,坂元はNHKの戦後外交シリーズにも参加している。 全体として,インタビューを除き,研究は順調に進んでおり,ユニークな成果を生み出しつつあるが,研究の包括性においては,やや欠けるところがあるかも知れない。最終年度である来年度には,とくにこの点に留意したい。
|