本年度の研究は、戦後のアジア・太平洋地域における安全保障システムの分析を行う上で基礎的となる二次文献の収集に力点をおいて行われた。この分野については、アメリカ外交史の研究の蓄積が特に多いため、この関連の文献に頼る部分も多かったが、日本、東南アジア地域、英連邦諸国の安全保障政策往び外交政第一般についても文献の収集に努めた。邦語文献についてはかなりの程度収集することができたが、外国語文献については十分とは言えず、一層の収集が必要である。 また、関連研究班によって行われた研究会に参加して意見交換を行った。同時に、東京の専門研究機械などを訪問し、雑誌論文の閲読なども行った。 年度末には、これまでに分析し得た内容をもとに、「1950年代前半のアジア・太平洋における安全保障システム」と題して研究会で非公式の報告を行い、有益な批判・コメントを得た。これは、アメリカの冷戦政策と日本との関連を、アメリカのアジア・太平洋における安全保障全般と結び付ける試みで、この成果をもとにして研究成果をまとめていく予定である。 今後は、収集した文献の整理・分伏を行うと同時に、外国語文献を中心に不足している文献の収集に努める必要がある。また、多数の国・地域の関連しているテーマであるだけに、それぞれの地域専門家の意見も聴する必要がある。更に、一次史料の収集もできるかぎり行う必要がある。特に、アメリカ、イギリス、オーストラリアなどの史料を中心に収集に努めたい。
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