筆者は、この約15年間にわたって、イタリアの戦後改革と経済発展について研究を続けてきたが、平成4年度科学研究費補助金を得て、平成4年度には、重点的に日本における戦後改革-特に連合国およびアメリカの対日占領管理政策に関する資料収集と研究を進めてきた。 従来、日本占領史研究の通説は、ドイツの分割占領とは異って、連合国最高司令部(GHQ)またはアメリカによる単独統一占領管理政策が採られてきたとされているが、じっさいには、ソ連による樺太、千島などのいわゆる「北方領土」は別にしても、沖縄、庵美、小笠原諸島は日本本土の連合国最高司令部とは独立した米国軍政府による占領管理が行われていたのである。したがって、日本も3つの部分に分割されて、占領管理政策が実施されたのである。1992(平成4)には沖縄の日本復帰20周年、1993年(平成4)には庵美群島の日本復帰40周年を迎える。そして1991年10月25日には、「庵美返還の記録」という外交文書も公開された。その資料によって、日本が国際社会に復帰する時期(1950年代初期)の重要な外交関係の一面を知ることができる。これまであまり研究のスポットライトがあてられることの少なかった沖縄・庵美の占領管理政策を研究することによって、戦後日本形成をトータルに把握することができるものと思われる。この研究成果は、平成5年度文部省科学研究費補助金「研究成果公開促進」による出版の応募申請中である。
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