研究概要 |
昨年度までに開発した3軸グラジオメータをもちい,各種遺跡に対して磁気探査実験を行い,システムの評価並びに磁気異常データの収集を行った.以下その探査概要を記す. 1.根岸遺跡(福島県いわき市):磐城郡衙と推定される遺跡で,建物跡などの探査を試みたが,良い結果は得られなかった.発掘結果によると,複数の建物の柱穴が密集していたためと思われる. 2.七日市遺跡(兵庫県氷上郡春日町):旧石器遺跡の包含層上で行った焚火実験跡の磁気探査を行った結果,被熱部分の磁気異常を検出する事ができた.また,弥生時代の円形周溝墓の探査にも成功した. 3.山垣遺跡(兵庫県氷上郡春日町):奈良時代前期の里長の館跡の周濠の探査を行い,館の大きさを確定した. 4.岩戸山古墳(福岡県八女市):2段築造の墳丘前方部の下段上のテラス部分で,埴輪・石人探査を行い,4ヵ所の磁気異常点を発見し,それらの埋没可能性を示した. 5.田尻遺跡(群馬県北群馬郡子持村):軽石層下の埋没古墳群を,まず地中レーダ探査により位置確定を行い,埋没古墳の墳丘上を磁気探査した.その結果埋葬主体部によると思われる磁気異常を発見した. 探査実験の過程で,磁気センサの温度ドリフトによる悪影響があることがわかり,その対策も講じた.
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