研究概要 |
1.地中レーダでは地中での電波の放射パターンが探査能力に重要な影響を与えるが,アンテナからの地中への電波の放射パターンの直接測定は困難であるので,土と似た複素比誘電率を持つ紙粘土を疑似土壌として用い,紙粘土に挾み込んだ感熱液晶板により土中の電界分布を発熱量として直視することができる実験槽を組立てた.モノポールアンテナに430MHzの電波を給電して行った実験では,観測結果は理論値とよく対応しており,本手法の有効性が確認された. 2.地中レーダ用アンテナは大地から強い影響を受ける.その影響を調べるためにアンテナの共振周波数や帯域幅に注目し,実験的にその度合いを検証した.用いたアンテナは真空中での共振周波数495MHzの折り返しダイポールアンテナで,乾燥土・芝生・煉瓦敷・アスファルト舗装の各種地表面からの高さを変えて共振周波数と帯域幅の変化を調べ,地中レーダー用アンテナ設計のための基礎資料を得た.また反射板の影響についても検討した. 3.昨年度試作したFM-CWレーダ回路の基本特性を検証するために,送受信アンテナの代わりに長さの異なる遅延線を直結し,その電気長と応答周波数との関係を調べた.その結果回路応答の線形性が確認され,また周波数変調速度の校正を行うことができた. 4.偏波制御による探査能力向上のために,偏波を容易に切り替えられる中心周波数625MHz帯域幅350MHzのスロットループアンテナを試作した.
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