研究課題/領域番号 |
04214112
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研究機関 | 東京国立文化財研究所 |
研究代表者 |
三浦 定俊 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 部長 (50099925)
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研究分担者 |
佐野 千絵 東京国立文化財研究所, 保存科学部, 主任研究官 (40215885)
川野邊 渉 東京国立文化財研究所, 修復技術部, 主任研究官 (00169749)
山口 和夫 神奈川大学, 理学部, 助教授 (20114902)
中浜 精一 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016410)
中條 利一郎 西東京科学大学, 理工学部, 教授 (60016285)
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キーワード | 遺跡探査 / 赤外線 / 画像処理 / アミノ酸分析 / 地中レーダー |
研究概要 |
光学探査と化学探査による群馬県の遺跡の探査を行い、その結果を解析した。光学探査ではスカイポールと呼ばれる高さ約13mのポール上にカメラ類を設置して撮影を行ったが、肉眼では見えない遺跡の形を発見することができ、地中レーダー探査結果と良い一致を得た。遺跡のある場所とない場所で土壌のスペクトルに差ができる理由は、遺跡表面の土壌の温度と含水率の違いによるものであると考えている。昨年度、撮影した田尻遺跡の場合は主に温度の違いが熱画像における濃度の差となって現れ、含水率の違いによる土壌の色の変化が可視、近赤外写真の上の違いとなって現れたと推定された。 田尻遺跡から採取したボーリングコアによる化学探査を行い、次のような点が明らかになった。遺跡内の古代の道と思われる場所と古墳周溝の部分から採取した土壌試料を用いて、有機炭素定量分析、アミノ酸分析、燐定量分析を行ったところ、古代の道では道路面と思われる深さで有機炭素量、アミノ酸濃度とももっとも大きい値を示したが、周溝ではそのような傾向が見られなかった。その理由として、周溝がまだ新しい時期に榛名山の火山灰で埋められたのではないかと推察された。分析したアミノ酸はアスパラギン酸、トレオニン、セリン、グルタミン酸、プロリン、グリシン、アラニン、シスチン、バリン、メチオニン、イソロイシン、ロイシン、ヒスチジン、リジン、アルギニン、チロシン、フェニルアラニンの17種類であるが、チロシンとフェニルアラニンは夾雑物の影響によって分析が行えなかった。燐濃度については施肥の影響があるのではないかと考えられ、今後どのように燐濃度測定を応用していくかは、検討する必要がある。
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