研究課題/領域番号 |
04214205
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
西村 康 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (80000488)
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研究分担者 |
花谷 浩 奈良国立文化財研究所, 飛鳥・藤原宮跡発掘調査部, 主任研究官 (70172947)
岩永 省三 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 主任研究官 (40150065)
巽 淳一郎 奈良国立文化財研究所, 飛鳥・藤原宮跡発掘調査部, 室長 (10110090)
山中 敏史 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 室長 (90000504)
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キーワード | 遺跡探査 / 寺院 / 宮殿・官衙 / 埋納遺跡 / 電気探査 / 地中レーダー探査 / 磁気探査 |
研究概要 |
本研究では、1.集落や官衙、寺院遺跡のように空間的な広がりの大きい遺跡を対象に探査を応用して、精度良くかつ効率的に調査できる方法を開発すること、2.弥生時代の銅剣、銅矛、銅戈のように、存在の特定が困難な埋納遺物を対象に探査することと、それの後の保存処理や材質の分析に対応できる、調査の方法を開発することを目的としている。 今までは、探査法としては主として電気探査をとりあげてきたが、本年度は最終年度でもあるので、地中レーダー探査、磁気探査、EM法なども加えて多数の遺跡で検討してきた。それらのうち、上の原遺跡(西都市・宮崎県)、弥勒寺東遺跡(関市・岐阜県)、斎王宮跡(明和町・三重県)では、地中レーダーを用いた探査によれば、柱穴が特定できる可能性を見出すことができた。しかし、中名V遺跡(婦中町・富山県)のように中世に属する小さな柱穴を検討することは、現状の探査技術では困難かもしれないこと、安土城(安土町・滋賀県)で対象とした小さな礎石では、レーダー探査よりは電気探査の方が有効である可能性を指摘できた。 探査の方法全体を通してみると、地中レーダー法に依存する場合が多いように思われる。それは、この方法では線状のデータ採集が可能で、他の方法よりも密度の濃いデータが得られる展にあると思われる。しかしながら、地中レーダー探査を採用できない自然環境も多くあり、有効探査深度にも限界があるので、この方法のみで柱穴などが特定できるわけではない。湿潤な土城環境などで深い層位を探る場合には、電気探査の方が有効であろう。 また、異なる測定原理に基づく複数の探査方法を同一範囲に応用して、土城の異なる物理的性質を得て、それらの結果を照合するという探査手法が、遺跡探査では最も重要といえよう。
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