本研究では新しく、1)インドネシア・ジャワ島のサンギランとモジョケルトの地層からガウス及びブリュンヌの両正磁極期の古地磁気データ、2)モジョケルトからオルドバイ・イベント上部(Upper Olduvai)の地磁気逆転の古地磁気データ、3)大阪府内2箇所から松山逆磁極期末期の古地磁気データを得た。これらのデータを解析した結果次のことがわかった。 (a)ジャワ島では1.5Ma頃に10万年以上の期間継続する長期の地磁気エクスカーションが存在したことを発見しており、またそれから計算した磁極が20°E±10°の経度帯に沿って移動することもわかっている。本研究で得られUpperOlduvai逆転の記録からは、それから計算した磁極が200°E±20°の経度帯に沿って移動することがわかった。この経度帯は地球上の他の地域で得られているものとことなるが、エクスカーション磁場の磁極移動の経度帯と対蹠的な位置関係にある。このことは地磁気の逆転とエクスカーションが起こる時ジャワ島の地磁気は反対の極性をもつ地域的な地磁気源に支配されている可能性を暗示している。 (b)逆転とエクスカーション以外にジャワ島からは双極子磁場方向から大きく逸れる磁場(Deviated field)方向データが過去3百万年間のデータの中から数多く得られた。これらの磁極は逆転磁場の経度帯200°E±20°の回りに分布することがわかった。Deviated fieldは地磁気の不安定な時に発生しているとすれば、(a)のことも考慮して、ジャワ島においては地磁気不安定時には長期的に安定に存在する地域磁場成分が卓越することを示している。 (c)大阪層群海成粘土層Ma3から松山期末期に起こった地磁気エクスカーションを発見した。この磁極は約45°Eの経度帯に分布し、これは73万年前の逆転磁場の経度帯とほぼ90°離れている。
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