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1992 年度 実績報告書

生物社会における自律分散機構

研究課題

研究課題/領域番号 04218108
研究機関京都大学

研究代表者

日高 敏隆  京都大学, 理学部, 教授 (70014892)

研究分担者 今福 道夫  京都大学, 理学部, 助手 (60135506)
桑村 哲生  中京大学, 教養部, 教授 (00139974)
山村 則男  佐賀医科大学, 医学部, 助教授 (70124815)
三宮 信夫  京都工芸繊維大学, 工学部, 教授 (60026044)
キーワード自律分散システム / 生物集団 / フィットネス / 群れ / 生物社会 / 個体間誘因力 / 集団求愛
研究概要

今年度は最終年度であるので、自律分散システムとしての生物社会に関する知見をまとめることに力を注いだ。そのさい、サブシステムとしての個体がそのフィットネスを高めることが、どのように生物集団の安定性に寄与するかを、さまざまの動物群で検討した。理論的アプローチはコンピュータを、実際の動物の行動に関する知見の収集はビデオを駆使して行なった。
魚類の群れはリーダーのいない対等の個体よりなるが、個体の挙動をコンピュータ・シミュレーションによって解析し、その維持に貢献する個体間誘因力、速度、向きなどいくつかのパラメータを明かにすることができた。魚類の社会構造の安定性については、海産魚の一種ムラサメモンガラをモデルとして長期にわたって調ベ、生息空間の占拠という個体の利益の追及が、結局は個体群に安定性をもたらすことを解明した。
社会性昆虫では同種の個体間でしばしば形態的・機能的な分化が見られるが、とりわけ集団全体の安定性に寄与する個体としてワーカーとソルジャーの特質を比較し、両者がそれぞれ進化する生態的条件を明かにした。
動物では雄による雌獲得のための集団求愛がよく見られるが、集団で求愛する場合が単独で求愛知る場合より好ましい条件を検討した。
以上のように、集団を構成する個体が集団全体のではなく、それぞれ自分の利益を追及することがどのように安定性をもたらすかを調査してきた。しかしこれまでは、全体としてやや理論的なアプローチが先行したきらいがあり、今後はこれまで以上に具体的な動物での事例を充実させることによって、生物社会の自律分散機構へのさらに深い理解が得られるものと思われる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 三宮 信夫: "魚群行動における自律分散機構のモデリング" 計測自動制御学会諭文集. 29. 211-219 (1993)

  • [文献書誌] YAMAMURA,N.: "An evolutionary theory of conflict resolution between relatives:altruism,manipulation,compromise." Evolution. 46. 1236-1239 (1992)

  • [文献書誌] KUWAMURA,T.: "Overlapping territories of Pseudosimochromis curvefrons males and other herbivorous cichlid fishes in Lake Tanganyika." Ecol.Res.7. 43-53 (1992)

  • [文献書誌] IMAFUKU,M.: "Shell fights in the hermit crab Pagurus geminus:Aggressive act with mutual gain." J.Ethol.9. 67-76 (1992)

  • [文献書誌] 今福 道夫: "生物集団における群知能ー動物集団の群知能" 計測と制御. 31. 1185-1189 (1992)

  • [文献書誌] 伊藤 嘉昭: "動物生態学" 蒼樹書房, 507 (1992)

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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