研究課題/領域番号 |
04218205
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
神野 耕太郎 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40025630)
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研究分担者 |
酒井 哲郎 東京医科歯科大学, 医学部, 講部 (40153845)
廣田 秋彦 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (50156717)
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キーワード | 膜電位感受性色素 / 光学的測定 / 初期胚 / 心臓 / ペースメーカー / 心リズム |
研究概要 |
膜電位感受性色素を用いた細胞電気活動の多領域同時測定法を個体発生初期の鶏胚心臓に適用し、心臓ペースメーカー機能形成の初期過程を追跡した。 ふ卵約30-36時間の7-9体節期の鶏胚から得られた拍動開始以前の幼弱な心臓の自発性活動電位の伝播パターンの解析により、ペースメーカー領域のマッピングをおこない、その面積と形、およびその位置の個体発生の進行にともなう発達を調ベた。その結果、ペースメーカー領域は、この時期を通じてほぼ円形の形を示し、大きさも1200-3000μm^2と個体差はみられたが、系統的な変化はみられなかった。ペースメーカー領域の位置には特徴的な変化がみられ、7体節期-8体節期中期には左または右の心室部に存在していたペースメーカー領域は、9体節期に入ると、左心房原基に局在するようになり、9体節期後期にはさらに静脈洞原基近傍へ向かって移動してゆくことが明らかにされた。 このようなペースメーカー領域の決定に関連して、ペースメーカー電位の発現部位とその空間分布について発達段階を追った詳細なマッピングをおこなった結果、ペースメーカー電位の最も急峻な領域がペースメーカー領域として機能して心臓全体のリズムを支配していることが明らかになった。このことから、ペースメーカー電位の傾きで示される心細胞のリズム能の心臓内での分布、すなわちリズム勾配がペースメーカー領域の位置とそのリズムを決定するという原則が明らかとなった。このことから、それぞれに自発的なリズム能を持つた心細胞が集合して、全体としてひとつの心リズムを発現するという「自律分散システム」としての心臓ペースメーカー機能の形成の過程が明らかにされた。
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