研究概要 |
1.平成4年度における本研究の主目的の一つは,ロボット・アームの局所軌道計画ユニットと該なる,連想能力をもつデータベースの自己組織化手法について検討することであった。不測の障害物に対する衝突回避能力を獲得するため,局所軌道の計画に際してはある種の予測作業が必要であり,データベースが管理される知識はある不確実性をもつものとなる。当初,このような知識の記述系としてファジー系が利用できると考えていたが,厳密により自動的に登録されてゆく知識が推論において自己予盾を引き起こすという問題のあることがわかった。そこで本研究者らは,諸研究事例を調査のうえ,独自に,相補則を満たすファジー論理系を新しく創案することとなった。これが本研究で得られた最大の収穫である。自己組織化データベース本ファジー系を組み込んだときの計算論的な性能の評価は,将来の課題として残る。 2.第二の研究目的は,大局的軌道計画ユニットの該となる,ホイヘンスの原理に基づく再帰的軌道計画ユニットについて検討することであった。CMOSなどを用いて適切な並列回路を組めば,最短経路に比例するオーダーの計算時間で軌道計画を行なえる--ということが理論的に確かめられた。また並列回路を作らなくとも,経路の記述空間をn次元とするとき,最短経路のn乗のオーダーの計算時間で軌道計画を行えることも確かめられた。最短経路に依存する明確な計算時間の評価が与えられているような経路計画法は,これまでに提案されておらず,これが本研究で得られた第二の収穫である。 3.その他,運動計画ユニットについて詳細検討を行なった。
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