並列論理型言語の柔軟かつ強力な記述能力と処理能力を活かした応用として、柔軟な自然言語の解析および生成のための統一的なシステムの研究を行なった。並列論理型言語の特徴をうまく利用することにより、個別に記述した異なるレベルの現象の処理を自然に統合することが可能であることがわかった。 自然言語の解析においては、従来の文法に基づく堅い解析だけでなく、文法的な誤りを含んだ文についても柔軟な処理が必要である。文法的また意味的に誤りがある文に対しても適格な解釈を行なうことを可能にするために、解析システムの処理をモニターするメタなプロセスの記述を行なった。両者が並行に動くシステムを設計することにより、自然な柔軟な処理の実現が可能ぶあることを示した。 また、自然言語の生成においては、従来は、発語に必要な情報をすべて用意した上で生成を行なうシステムが仮定されることが多かった。しかし、大規模な知識と文法知識を用いるより一般的な枠組を考えると、事前に文法から要請される情報を準備しておくと仮定するのは現実的ではない。したがって、発話に必要な情報を動的に得ながら生成を行なうシステムが必要になる。一方、そのようなシステムでは、発話に必要な情報が動的に変化するため、従来のような後戻り処理を基本にするアルゴリズムでは処理効率面でも問題がある。そこで、Shieberらによって提案された意味主辞駆動型の生成アルゴリズムをボトムアップチャート法と同様に並行的に動作可能になるように改良することにより、これらの要求を満たした生成システムを実現した。この実現のためにも並列論理型言語の自然な並行処理の枠組が極めて効果的である。
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