紅藻ソゾから単離される代表的含臭素化合物デアセチルローレンシンは、酵素ブロモペルオキシダーゼ(BPO)によって、(3E、6R、7R)-ローレジオールから生合成されると推定されている。当研究室では既に、BPOの類縁酵素である市販のラクトペルオキシダーゼを用い、過酸化水素および臭素イオンの存在下ローレジオールからデアセチルローレンシンが得られることを報告している。紅藻ウラソゾにはBPO活性があることが確認されているが、活性は低く、又、単離過程で容易に失活してしまうため、今年度は、ウラソゾと同じ紅藻類のピリヒバ(Collaria pirurifera)に含まれるBPOを用いて酵素反応を行なった。ローレンシンから数段階を経て、1位が重水素化された(3E、6R、7R)-ローレジオールを誘導した後、これを過酸化水素および臭化物イオンの存在下、BPOによる酵素反応に付し、生成物をHPLCによる分画した。その結果、ブロモカチオンの取り込みに伴うエーテル環化反応により生成した(1- ^2H)-デアセチルローレンシンおよびその立体異性体と考えられる化合物を得た。
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