研究課題/領域番号 |
04224205
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前田 康二 東京大学, 工学部, 助教授 (10107443)
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研究分担者 |
鈴木 邦夫 東大大学, 物性研究所, 教授 (50107439)
深津 晋 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (60199164)
白木 靖寛 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (00206286)
目良 裕 東京大学, 工学部, 助手 (40219960)
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キーワード | 人工格子 / 転位すベリ / SiGe / Si / ミスフィット転位 / ヘテロエピタキシャル / 転位フィルター効果 / パイエルスポテンシャル / キンク |
研究概要 |
転位およびキンクの生成エネルギーは結晶の剛性率にほぼ比例するので、剛性率の異なる層を積み重ねた超格子構造ー剛性率変調多層膜ーは、界面に平行な転位線に対しては転位エネルギーの周期的変異を生じるのに対し、多層膜を貫通する転位に対して特別な運動障害をもたらさない。剛性率変調多層膜が転位運動に対して示すこの異方的性質を利用すると、転位を一方向にブロッキングしそれとは直角方向に掃き出させる効果があるため、これをエピタキシャル成長時に挿入することによって、上方の成長膜へ侵入するミスフィット転位を大幅に減少できる可能性がある。分子線エピタキシー(MBE)法によって作製したSi_<1-X>Ge_<>/Si多層膜をモデルシステムに用い、ミスフィット転位制御における剛性率変調多層膜の有効性を実験的に調ベた。その結果、多層膜を構成する各層個々の膜厚を臨界膜厚以下に保ちかつ総膜厚を多層もに対する臨界膜厚以上にすれば、成長途中に適切な熱処理を加えるだけで、最上層のミスフィット転位の密度を大幅に低減できることが確かめられた。この手法は原理的に金属物質にも応用可能である。またこの研究を通して、ヘテロエピタキシャル薄膜の膜厚が小さいところで、転位速度がも厚に比例して減少するような領域が現われることが見いだされた。この結果は臨界膜厚効果では定量的に説明できない。転位運動の活性化エネルギーが膜厚に依存しないことから、パイエルス機構による半導体中の転位のすべり運動の素過程に関し従来なかば信じられていた「転位はキンク衝突を繰り返しながら運動する」という描像をくつがえす、学術的にも重要な知見が得られた。
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