研究概要 |
1)金属人工格子の生成過程を明らかにする目的で,FeおよびFe-Nスパッタ膜、さらにFe/Fe-N多層膜の成長過程の電気抵抗のin situ測定およびRHEEDにより研究した。その結果,Fe膜の比抵抗は成長初期30Aまでは核の二次元成長によって指数関数的に減少し、その後臨界膜厚50A位まで島状に発達してから連続膜へ移行することが分かった。Fe-N膜では臨界膜厚が小さく、その時に比抵抗は高いことが分かった。Fe-Fe-N多層膜では層成長につれて比抵抗変化が観察され、Fe層は(110)配向、Fe-N層は(200)配向して成長することを見いだした。 2)界面の平滑な高品位の人工格子膜を作成する目的で,ArF(波長193nm、パルス幅17msec)およびKrF(波長248nm、パルス幅24nsec)エキシマレーザの光エネルギーによるアブレーション法によりFe、Fe-O、Fe-N薄膜を作成した。高繰り返し周波数で作成したFe膜は結晶性が良く、高保磁力を示した。これはFe-N相の形成と関係していることが分かった。低繰り返し周波数ではFe膜の酸化がおこり、室温ガラス基板でもファラデー回転角が約4度/μmのマグネタイト薄膜を作成することに成功した。 3)磁気光学効果の大きなビスマス置換鉄ガーネットにおいて、光の回折現象の位相格子の立場から解析し、ゼロ次回折光を利用した光スイッチの可能性を明らかにした。また、Fe-N膜およびFe/Fe-N多層膜の磁気光学カー回転角およびカー楕円率ヒステリシス曲線を光弾性変調器を用いることにより0.01度の精度で測定し、電子構造に関して知見を得た。単原子〜数原子層の磁性層の磁気的振舞い,及び層間の磁気的相互作用を磁区構造観察により研究し、回折光によるブロッホラインの観察に成功した。
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