研究概要 |
1。バシラス属好熱菌PS3のシトクロムオキシダーゼオペロン遺伝子の発現にはなお成功していない。pUCをベクターに大腸菌で発現しようとすると、サブユニットIIはわずかに発現されるが、サブユニットI以上は発現できない(川村祐子1993卒業論文)。オペロン全体をpUCにいれようとしても、宿主が死ぬらしく入らない。大腸菌と枯草菌のシャトルベクターpTH13に入れても大腸菌を宿主にする限り同様のことがおこる。 2。形質転換可能なバシラス属好熱菌K1041に適合する発現ベクターを構築して手始めにPS3のシトクロムc-551の構造遺伝子を導入し、その過剰発現に成功した(山崎珠代1993卒業論文)ので、PS3のシトクロムオキシダーゼオペロン遺伝子の発現を試みている。 3。4個の金属原子(a,a_3,Cua,Cub)を含む活性中心付近の構造をこれらのメタルに配位するヒスチジンの位置を鍵に考察した。これには同族の鉄-銅末端酸化酵素である大腸菌のシトクロムboにおける部位特異性変異導入実験の結果を参照した。膜を貫くアルファヘリックスの位置関係は確からしくなってきたが、精密モデル化は今後の課題である。 4。ヘムの問題について、シトクロムオキシダーゼをcaa_3型からcao_3型に変換することができた。このオキシダーゼはプロトン輸送能を持つので、a_3ヘムのホルミル基はさほど重要な役割を果たしていないと思われる。またこの標品の共鳴ラマンスペクトルを測定しヘムと蛋白質との相互作用を論じた(投稿準備中)。
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