有機金属気相成長法を用いてシリコン基板上に条件を変えてGaPの結晶成長を行い、結晶成長の初期の段階で原子レベルでどのような機構で成長するか明らかにし、GaP層の膜厚を変えて結晶成長を行う実験から、転位が導入される機構、及び成長の過程で結晶欠陥、歪がどの様に変化するか研究を行った。 Si基板上にV/III比、成長圧力、基板の面方位を変えてG鋼Pの成長を行った。V/III比を増加するとGaPの成長モードは島状成長から平担な成長へ移行し、その移行するV/III比は成長圧力の増加と共に減少した。それはPH_3の分解速度、Si基板上への吸着を考えることによって説明できる。また、(111)Si基板上のGaP成長は(100)Si基板上より低いV/III比で平担な結晶が得られた。 GaPが平担に成長するモードで結晶成長を行った時、膜厚が90nm以下の時はGaP層には転位は観測されなかった。ところが90nmを超えるとミスフィット転位が観測された。これは結晶成長の初期段階において、GaPがミスフィットによる圧縮応力を受けて結晶成長するためである。膜厚が増加すると90nmでSi測に過剰原子面があるミスフィット転応が入って応力が緩和される。電子顕微鏡観察より、転位はすべて60゚転位であることが確認できた。また、GaP測に過剰原子面がある転位も観測された。これは、成長温度から冷却する過程で熱応力を緩和するために導入されたものである。 X線回折よりGaPの結晶方位がSiの方位よりオフ角度の方向にずれていることがわかった。これは、結晶成長時に導入される転位と成長後の冷却時に導入される転位を考えることによって説明できた。
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