研究概要 |
本年度は(1)Arスパッタにより非晶質化したSi(100)表面を熱処理し、固相エピタキシ成長過程,表面欠陥の回復過程を実時間観察し、結晶性回復プロセスが原子レベルで初めて明らかになった。(2)超高真空MBEによりSi(111)-7×7表面上にAlを1モノしイヤー以下デポジションし、基板温度、表面被覆率によって引き起こされる種々の表面再構造について、その原子配列構造、位相境界近傍での局所構造、点欠陥構造、表面配列構造の構造相転移等を明らかにした。 加熱清浄化したSi(100)-2×1表面をArイオンスパッタにより表面層約3nmまで非晶質化した。表面は6.3-16Aの粒状Siで覆われる。245Cの熱処理により粒状Siの粒径は減少し、部分的に(2×1)再配列構造が観察され、再結晶化がはじまる。長時間の熱処理により表面に向かって(2×1)層と(1×2)層が交互に形成され、1層1層再結晶化が進むことがわかる。最終的には表面層まで再結晶化が進み、固相エピタキシ成長する。このような固相エピタキシプロセス本研究によって初めて明らかになった。 Si(111)-7×7表面のAl吸着構造に関しては以下の知見を得た。Al- 13×13再配列構造とSi-7×7の位相境界ではSi-7×7のfaulted unitが接し、Al原子はアドアトムサイトを占めること、Al- 13×/3は原子ステップ下端から拡張し始めるテラス上では孤立した島を形成しないこと、Al領域の拡大によるSi-7×7からAl- 13×13への相転位が7×7の単位胞を単位として起こることなどかが明らかになった。これまで原子構造モデルが明らかでなかった2-7×7構造の原子配列構造を初めて明らかにした。
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