研究課題/領域番号 |
04228202
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
舛本 泰章 筑波大学, 物理学系, 教授 (60111580)
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研究分担者 |
三品 具文 筑波大学, 物理学系, 助手 (10209744)
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キーワード | 光スウィッチ / フェムト秒分光法 / ピコ秒分光法 / スピン緩和 / ポンプ・プローブ法 / タイプII型量子井戸 / 超高速光スウィッチ / 円偏光 |
研究概要 |
偏光を用した分光実験は、光学遷移の偏光に対する選択性により、物質のより詳細な電子状態を探るための有効な手段となる。本年度は、半導体量子井戸中における光励起担体のスピン緩和を、円偏光を用いた、フェムト・ピコ秒レーザー分光法を使って研究し、タイプII型半導体量子井戸を用いることにより、初めて正孔のスピン緩和を取り出して観測することに成功した。また、スピン緩和は室温において極めて速い。この性質を光学スウィッチに応用するための実験も併せて行った。 右円偏光で励起されたAlGaAs/AlAs半導体量子井戸は、左右円偏光に対し、それぞれ異なる非線形吸収を示す。この理由は、サンプルのスピン電子状態に起因する偏光選択的光学非線形性があるからである。この光学非線形性の時間変化をポンプ・プローブ法を用いて測定した。この時間変化測定により、変なるスピン量子状態間の光励起担体の遷移を観測できる。このスピン量子状態の遷移は、スピン緩和と呼ばれる。実験に用いたタイプII型量子井戸は、電子の層間Γ-X散乱により、光励起担体のうち正孔のみスピン緩和が観測できる。 サンプル温度2Kにおける正孔のスピン緩和時間は励起強度依在性を持ち、20ピコ秒から100ピコ秒であった。この励起強度依存性は、我々が初めて観測したものであり、正孔-正孔散乱によるものであることが分かった。この正孔-正孔散乱の散乱断面積は、正孔のスピン量子数に依存し、パウリ排他律を反映する結果を得た。 また、室温におけるスピン緩和は1ピコ秒程度であることが分かった。我々は、このスピン緩和によるスピン選択光学非線形性を利用し、超高速光学スウィッチへの応用も試みた。そして、高感度かつ、100GHzの高緑り反しスウィッチ動作を実現することができた。
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