研究分担者 |
上村 洸 東京理科大学, 理学部, 教授 (60011475)
花村 栄一 東京大学, 工学部, 教授 (70013472)
塚田 捷 東京大学, 理学部, 教授 (90011650)
川村 清 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (00011619)
川畑 有郷 学習院大学, 理学部, 教授 (80013514)
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研究概要 |
1.マイクロクラスターの電子状態の数値的研究 構成原子の幾何学的配置が未知で,その原子数が数十から数千にわたるマイクロクラスターの電子状態を知ることは,現在得られる計算機の能力をフルに利用しても容易なことではない。我々理論班では,そのための近似法の開発と,開発された近似法を具体的な系に適用して,その系の興味ある性質を理解したり予側する研究を行っている。 2.マイクロクラスターの動的振舞いの数値的研究 マイクロクラスターの反応,分裂,成長,揺らぎ,融解などの動的過程を,それに伴う電子状態の変化も取り入れて,数値的に研究している。 3.超微粒子の分光学的性質 超微粒子では,バルクや原子・分子では見られない定性的に新しい分光学的性質を見ることで出来る。特に電子間,或は電子と空孔間相互作用に関係した問題に興味がもたれている。 4.金属クラスターの帯電効果 今迄の金属微粒子の熱力学的,電気的性質に関する理解は,ほとんどの場合電気的中性の仮定に基づいている。その根拠は,微粒子に電子一固の過不足があると静電エネルギーがe^2/za(a:微粒子の半径)だけ増加すると言う古典的な議論である。しかしこの問題を量子力学的に考えると,又別の結論が得られる。 5.金属クラスターの量子効果(シェル効果) 金属クラスターの量子効果として,電子順位の離散的な不均一分布による安定性に関するシェル効果をあげることが出来る。最近Alクラスターで観測された新しい周期のシェル振動で電子のシェル構造によるものか,原子構造のシェルによるものかについて理論的な検討を行った。 今迄古典的な電荷を持った金属液滴に量子力学的なシェル効果を取り入れる「シェル補正の理論」を用いて,金属クラスターの対称的な分裂(2つの等しいクラスターに分裂する場合)を論じてきたが,現在この理論を非対称分裂の場合に拡張し,交久瀬グループで観測されたAg_N→Ag_N+Ag_<N-n>(n≠N/2)分裂を調べた。
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