研究分担者 |
尾関 博之 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (70260031)
高野 秀路 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (00222084)
山本 智 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80182624)
谷本 光敏 静岡大学, 理学部, 教授 (40207197)
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研究概要 |
今年度は本重点領域研究の最終年度に当たるので、これまでに整備した各種分光器、手法を用いて星間関連短寿命分子の分光に集中するとともに、全体のまとめを行った。今年度の成果としては、 1.NSラジカルのマイクロ波スペクトル NSラジカルのミリ波・サブミリ波スペクトルの再測定を行った結果、これまでの実験室での測定周波数の誤差が大きく、星間スペクトルの解析の際のいわゆる静止周波数として不適当であることを明らかにした。実際、NSの星間スペクトルから得られた暗黒星雲の相対速度に見られた矛盾の大部分を新しい測定周波数を用いることにより解決した。 2.変角振動励起状態にあるC_3S分子のマイクロ波スペクトル 既に星間分子として同定されているC_3S分子は、晩期型炭素星IRC+10216の周辺雲でも強いスペクトルを与え、低い振動が励起された状態に存在する可能性も大きい。C_3Sの二つの変角振動の励起状態、v_4=1,v_5=1,2,3,4でのマイクロ波スペクトルを測定した。スペクトルを解析の結果、振動回転相互作用の高次項のいくつかを初めて決定し、またそれらの物理的意味も明らかにした。 3.FeClラジカルのマイクロ波スペクトル 鉄原子を含む化合物のマイクロ波スペクトルはあまり知られていない。結果として、鉄を含んだ星間分子はこれまで検出されていない。鉄を含んだ分子としてはほとんど知られていないFeClラジカル(^5Δ_i)をステンレス電極によるAlCl_3とHeの混合気体の放電により生成し、そのミリ波・サブミリ波スペクトルを初めて検出した。 これらの結果は星間FeCl分子の探査に有効であろう。
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