(1)ジョセフソン・ミキサーのシミュレーション シミュレーションの第一段階として、電磁波照射により誘起されるシャピロ・ステップの振る舞い、とくに、ミキサー動作のため解明が必要な応答の不安定性(カオス)の発生条件を明らかにすることを目的とした。すでに、微視的理論にもとづくシミュレーションプログラムは完成しており、シャピロ・ステップに関する予備的計算もできていたが、カオスの発生に関しては、十分系統的には調べられていなかったので、大幅な追加計算とデータ処理プログラムを作成して、カオスの発生条件等を統計的に明らかにした。結果として、エネルギーギャップ周波数以下では、高品質トンネル接合における極めて小さいリーク電流は、カオス発生を誘起しやすく、ミキサー応用上好ましくないことが判明した。エネルギーギャップ由波数以上では、ミキサー応用に希望的結果が得られた。今後は、カオス発生抑制のため、シャント抵抗を通入した場合について調べる。予備的調査では、これはカオス抑制に効果的であることが分かっている。 (2)磁性バリアトンネル接合の製作 磁性バリア、CrOx、をトンネルバリアとする、Nbトンネル接合の製作を目指しているが、まだ非線形性の強いよい接合は製作できない。低電圧でのスパっタを実現するため、より強磁場のスパッタ用マグネットを製作したが、実験回数が少ないので、製作条件の解明を今後行う。また、重子ビーム蒸着用チャンバーを改造し、真空度改善と、磁性酸化物のレーザアブレーションを可能とした。この装置による素子製作も今後行う。
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