研究概要 |
最近、隕石中にダイアモンド、SiC、グラファイト等の星間物質が見つけられた。これらの物が星間物質(すなわち太陽系ができる前から存在していた物)であることはその同位体比が太陽系でできた物(例えば地球)のそれと大きく異なっていることによって確かめられている。これまで光学的観測によってのみ研究されてきた星間物質が種々の機器によって分析できるようになり星間物質の研究が飛躍的に発展すると期待されている。これまでの研究でこれらの星間物質の星間雲における寿命や、それらが放出された元の星の種類などが解明されている。 既に同定されたこれらの星間物質は化学的に非常に安定であり、隕石を酸で処理することによって比較的簡単に濃集する事ができるので同定するのが容易であった。しかし隕石には化学的により不安定な星間物質も存在するはずである。 本研究の目的はこの様な隕石中の星間物質を発見し記述することであった。隕石中の星間物質を見つけるのに最も有力な手段は同位体比の異常の大きい希ガス・窒素・炭素の測定である。今年度は始源的隕石の全岩の希ガス・窒素同位体比の測定を行ない何種類の星間物質が存在しているかを調ベた。 始源的隕石18個について段階燃焼法による測定結果のパターンから 1つの隕石には重い窒素(double positive,Y74191型)が入っている 1つの隕石には重い窒素と軽い窒素(positive and negative,Mezo M.型)が入っている 3つの隕石には2種類の軽い窒素(double negative,A77214型)が入っている 5つの隕石には1種類の軽い窒素(single negative,A81251型)が入っている 3つの隕石にはsolar wind らしい窒素が入っている 5つの隕石には同位体比の異常はほとんど検出できない という6つのグループニ分類できることが分かった。これらの同位体比異常は5種類のプレソーラーグレインの存在によって説明できると考えている。その同定は今後の課題として残されている。
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