本年度当研究においては、自己重力を含む磁気流体力学数値計算法を確立し、これを故較的簡単な初期状態に適用し、等温磁気星間雲の動的自己重力収縮の研究を行うことを目的とした。 1.数値計算法としては、流体力学はvan Leerの単調法を、磁場の誘導方程式はEvans&Hawleyの制限輸送法を、重力のポアッソン方程式は自乗共役勾配法を用いる方法が、衝撃波の安定性、メッシュ間隔の自由な設定、磁場の数値的発散が少ないといった点で、有利であることがわかった。 2.無限に長い静水圧平衡にある円柱状磁気星間雲に微小の揺らぎを与え、その後の進化を追跡した。その結果、 2.1.どのような形の微小な揺らぎを与えても、線形解析で知られている自己重力に対してもっとも不安定になる波長の揺らぎが成長する。これは円柱の軸方向に長いprolate回転楕円体形状の密度の高い分部を生ずる。 2.2.この高密度分部が、周りの密度の2倍程度まで達すると、収縮は、主に軸に平行な方向に起こるようになり、軸に垂直なディスク(oblate回転楕円体)を形成する。 2.3.最終的に、中心部に早く収縮して行くコア分部、その周りにゆっくりと収縮して行くディスク部分、さらに外延のprolateの低密度部分が形成される。 3.磁気静水圧平衡解の研究から、中心に形成されるコアの収縮は磁場によって支えられることは決してなく、収縮は継続することが分かる。この過程で中心に単独星(もしどこかで分裂が起これば星団)が形成されることが期待される。
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