一般相対論的な回転星の平衡状態が重力波放出によって、セキュラー不安定化する点を求めるための定式化を行い、その定式化にしたがって数値計算コードを開発しつつある。 軸対称な一般相対論的な回転ポリトロープ星を非摂動状態とし、重力場と物質及び速度場に摂動を与える。従来はこの摂動のうちの物質に関連した部分をラグランジ的な変位を用いて定式化しようとする研究者が多かったが、本研究ではオイラー的な変位をとる。また、非摂動状態が軸対称であって、摂動項に関してはexp(iωi-27φ)という共通の時間、φ依存性を仮定してモードに分解するので、座標変換の自由度からメトリックとしてはds2=-exp(2ν+δν)dt2+exp(2α+δα)(dr2+r2dθ2)+exp(2β+δβ)[dφ-(ω+δω)dt]2+h01 dt dr+h02 rdtdθのように6個のメトリックの摂動を考えればよいことがわかる。この6個のメトリックの摂動部分に関するアインシュタイン方程式を書き、無限遠でのrのべき展開を行いその振舞いを調べ、それぞれの振舞いにしたがってグリーン関数を用いて、無限遠でのメトリックの境界条件満たした積分方程式を求めた。ただしこのとき、本研究が問題とするのはセキュラー不安定の開始するモデルであるので、ω=0とおいた。実際、ω=0以外のモードでは無限遠でのrでのべき展開は意味を持たない。一方、物質についてはadiabaticな変位を考え運動方程式とポリトロープ関係の摂動の式を求めた。さらに、星の表面に関して表面の式をexplicitに定義し、表面と速度の満たす関係式を境界条件として付け加え、特に表面の赤道面での値を指定することによって問題を固有値問題から「平衡形状問題」へ転換した。 現在この定式化にしたがって、数値計算コードを開発中である。
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