研究分担者 |
平木 敬 東京大学, 理学部, 助教授 (20238348)
田中 英彦 東京大学, 工学部, 教授 (60011102)
末吉 敏則 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (00117136)
金田 悠紀夫 神戸大学, 工学部, 教授 (80107979)
天野 英晴 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (60175932)
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研究概要 |
本年度は,超並列ハードウェア・システムの実現に向けて基本構想を検討した.またその設計思想に基づきプロトタイプ・システムの検討を行った. プロトタイプ・システムは1000台規模のシステムを目安としており,クラスタ構造を採る分散共有メモリ型のマルチプロセッサシステムである.以下では,各々のシステム構成要素に関する研究成果を示す. (1)要素プロセッサの研究 1万台を超えるプロセッサからなる超並列システムでは,プロセッサ間の通信・同期オーバヘッドを隠蔽できなければ,満足な並列処理性能は得られない.このようなオーバヘッドの軽減ならびに隠蔽を可能にするためには,readレイテンシの軽減,ならびに,事象待ちのためのネットワーク・トラフィックの軽減などの直接的な対策のみならず,軽いコンテキスト切替え等の間接的な対策が必要となる.このような目的を達成するため,FIFO機構ならびにI-structureベースの同期機構を兼ね備えた高機能キャッシュ・メモリの検討を行った. (2)記憶構成方式の研究 高性能かつ大規模な分散共有メモリ並列計算機システムの構築を目指すため,要素プロセッサ向きでない本質的に局所性のない処理(プロセッサ間の通信,同期,メモリ管理等)を従来の局所性を利用する要素プロセッサから分離並列処理することを目的としたプロセッサ(MBP:Memory-Based Processor)を主記憶に設ける方式を提案した. (3)高速・高信頼相互結合網の研究 超並列計算機の相互結合網の設計に際しては,グラフ理論的(直径,次数など)な性質も重要であるが,実用的な側面や実装の可能性も同様に考慮しなければならない.本研究では,このような点を鑑み,2次元メッシュをベースとしたRDT:Recursive Diagonal Torusと呼ぶネットワークを開発した.RDTはメッシュに付加リンクを設けることで,ネットワークの直径をlogN程度まで軽減する.リンクの付加はベースとなるメッシュのX軸,Y軸の両方について±2メッシュ上を離れたノードに対して再帰的に行う.RDTには任意の2ノード間に複数のパスが存在するため,対故障性に優れるという特徴も兼ね備えている.
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