研究概要 |
本研究は,超並列の応用プログラムを超並列のコンピュータシステムで能率よく実行できるような支援をする基本ソフトウェアを設計し開発することが目的である。 平成4年度は,そのような基本ソフトウェアの概念設計,構築要素の追求,超並列用基本言語および超並列コンピュータシステムとの整合性やそれらへの要求のまとめなどを実施した。超並列用オペレーティングシステムとしてCOS(Collaborative Operating System)を想定し,そこに与えられるユーザプログラムには三つの実行モードを設定した。すなわち,COSの提供するインタフェースをそのまま利用すもモード,ある程度自前の処理を使用するモード,最低レベルのインタフェースのみを利用して全く独立に実行するモードの3つである。 これらの要求を実現するためには,ハードウェアの保護をしっかり実現した集合であるパーティションを管理,制御するシステムPOS(Partion OS)と,パーティション上でいくつかのサービスを提供するSOS(Service OS)の2つのサブシステムを設定した。POSは,さらに各プロセッシングユニットに存在しているMeta Micro Kernelクラスタを制御する。Claster Manager,およびパーティション自身に関する制御をするPartition Managerから成る。 SOSの例としては,従来から使われているUnixを超並列用に拡張したPUnix(Parallel Unix)を設計した。ここでは,スレッドのフォーク,並列パイプなど新しい機能が盛り込まれている。 COSの具体的な開発をするための開発環境も重要な問題であり,マルチプロセッサ,シミュレータなどを想定して,POSおよびSOSがスムーズに開発できる様な環境を設定する。 平成5年度から,具体的なソフトウェアの開発に着手する積りである。
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