研究概要 |
超並列処理の応用プログラムの具体的な試作を通じて,新しい並列処理パラダイムを設立するのが研究の目標である。本年度は,以下の各研究を行った。 (1)応用プログラムの開発:並列処理計算機AP-1000の上に以下のようなプログラムの試作を行い,その性能および並列性の評価を行った。・自動化有限要素法ソルバ:領域を指定すると,それを自動的にメッシュ分割して,方程式を立て,これを並列に求解して,結果を画示する。これらの処理を並列化した。並列化の効果は64プロセッサで約55倍と85%程度まで達成された。また自動メッシュ分割についても,効率よく実現できた。・自律分散処理:自律的な要素(例:人)の並列処理を実現した。このために,要素間での効率よい通信法が必要になるが,これを並列に連想的に実行する方式を考案した。・連立1次方程式:並列化に適していて,収束も速いマルチグリッド前処理付き共役勾配法を評価した。ほぼプロセッサ台数に比例した台数効果が得られた。 (2)MIMDizerの開発:既存の逐次型言語(例:C,FORTRANなど)を並列化するコンパイラを試作した。これまでのところ,データ並列についてリバモアループのコンパイルに成功している。なお,本コンパイラは,これまでのデータ並列コンパイラの処理に加えて,不規則な依存距離のループの並列化および,データ転送のベクトル化などによって,さらに並列化効果を上げる工夫をしている。 本年度はこれらの結果をふまえ,さらに応用プログラムの完備を図るとともに,並列プログラムのデータベース化ならびにダイレクトマッピングモデルの作成などを行う。
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