研究概要 |
超並列処理について,データ並列および制御並列の両面から,応用および言語の技術の確立を目指す.今年度の具体的な成果は以下のようである. (1)データ並列応用 問題領域の分割から,並列解法の選択および結果の可視化までを自動的に行う自動化有限要素法ソルバシステムのプロトタイプを試作した.問題領域の分割については,これまで並列に行う適当な手法が提案されていなかったのに対して,並列化効果がほぼ100%に近い手法を提案した.また,有限要素法の並列化解法については,ほぼ90%に近い並列化効果を達成する新手法を提案した. (2)制御並列応用 制御並列の応用として,実時間音楽情報処理の研究を行った.打楽器演奏を対象にそのビート情報を実時間で抽出するための,音響信号処理アルゴリズムを考案して,並列計算機に実装した.信号処理およびビート情報抽出のために,複数タスクの並列処理を行う手法を考案して,実装し,ほぼ完全にビーム情報の抽出ができることを確認した. (3)MIMDizer 逐次プログラムを自動並列化する.今期は特に並列化の大きな阻害要因となる制御分岐について,これを並列化するための新手法である先行評価方式を提案して,これを実プログラムで評価して,約数倍の性能向上効果が得られることを実証した. (4)可視化 計算結果を可視化するためのパッケージの基本設計を行った.国際標準であるPHIGSを基本として,計算結果を自由に図式化表示可能とする.
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