本研究で得られた成果は以下の通りである。 (1)処理粒度可変方式の研究:超並列問題の多種多様な論理的粒度に物理的粒度を整合性を失うこと無くマッピングさせるためのシステム構成方式について研究した。まず、物理的粒度を仮想化することによって粒度のマッピングにおける効率低下を防ぐアーキテクチャを構築した。次に、ハードウェア・アーキテクチャによって定まる処理フロー長や処理幅という物理的粒度の可変化方式について考察を加えた。処理粒度の制御は、従来、コンパイラによる静的解析情報及びOSによる動的解析情報のみに頼る方法で行われていた。本研究では、これらの解析情報をハードウェア要素によるシステムの動的再構成に適用する方式を提案した。 (2)処理粒質の問題への適応方式の研究:超並列問題から静的/動的に内在する処理フローを抽出・解析し、その定性的属性(粒質)に沿った処理機構の動的再構成方式について研究した。具体的には、コントロール(命令)フローやデータフローの抽出であり、その依存関係に関する情報をハードウェア構成要素の動的割り付けに利用し、問題に最適なハードウェア要素のスケジューリングや負荷分散を行うことのできるアーキテクチャを構築している。論理的な命令フローやデータフローを物理的な処理ユニットやメモリユニットにダイレクトマッピングできる問題適応方式についても考察を加えた。
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