10万台規模の超並列計算機をターゲットとしたトーラス・リング・バスの組み合わせによる疑似3次元構造の結合ネットワークを提案し、シミュレーションによる基本性能評価を行った。またプロトタイプマシンの設計を終え、製作にとりかかった。本研究は2年計画で進められておりプロトタイプマシンは来年度完成の予定である。計算モデルはデータパラレル処理を中心とし、3次元流体計算問題などの数値シミュレーションとその可視化を主たる応用とする。 提案した結合ネットワークはクラスタ構造で、クラスタ内ではリングとバスを併用し、クラスタ間接続には2次元トーラスを用いた。これは特に大規模システムにおける実装の容易さを特徴としている。3次元流体計算に対する性能予測では、32768台で29000倍程度の台数効果が見積もられた。同じ問題に対し3次元トーラスではほば線形な速度向上が見積もられたが、ハードウェアコストを抑えた本ネットワークでもこの程度の台数効果が得られることがわかった。また一般的なパケット通信では、通信の局所化が確保できれば2次元トーラスより優位であるというシミュレーション結果を得た。 プロトタイプマシンを現在製作中であり、本年度の計画通り単位プロセッサ基板の設計・製作までが完了した。プロトタイプマシンでは4プロセッサで1クラスを構成し、16クラスを4×4のトーラス接続するので総プロセッサ数は64となる。各プロセッサは浮動小数点DSPと4Mバイトのメモリで構成される。来年度はこのプロトタイプマシンを完成させ、基本ソフトウェアと3次元数値シミュレーション問題を実装して性能評価を行う予定である。
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