研究概要 |
超臨界二酸化炭素抽出しながら中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)と長鎖脂肪酸メチルエステルをリパーゼを触媒として,エステル交換反応を行った。その結果,二酸化炭素により選択的に中鎖脂肪酸メチルエステルが抽出・除去されたにもかかわらず,MCAへの長鎖脂肪酸の導入率は回分式反応に劣った。この反応率の低下は,二酸化炭素による水の除去が原因と考えられ,少量の水を補給すると反応効率は向上した。水の代わりに緩衝液を用いてpHを中性に保つと,反応率はさらによくなり,非水溶剤中の酵素反応においては,適性水分およびpHの維持が重要であることが示された。 界面活性剤(didodecyl glucosylglutamate)との複合体形成により,リパーゼは有機溶剤に可溶となり,加水分解活性を示したが,エステル交換活性はほとんど認められなかった。界面活性剤は,有機溶剤中のリパーゼ反応において,単に添加しただけでもエステル交換を促進したが,同時に加水分解活性をそれ以上に亢進した。界面活性剤との複合体を形成したリパーゼが,エステル交換反応を触媒しなかったのは,複合体を形成した場合には,複合体の内側にある高極性層を疎水性の強い基質(脂肪酸エステル)が通過できなかったためと推測された。
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