水溶液中の数10nm〜数μmの微粒子の分離分析法の一つであるハイドロダイナミック・クロマトグラフィー法を、超臨界流体を溶離液とした系に適用することを目的とした。 標準的な匡臨界流体クロマトグラフィー装置を用い、超臨界流体として20MPa、40℃の二酸化化炭素を、分離部細管に公称径130μ7のPEEK管を使用した。酸化シリカ粒子、およびポリスチレンラテックス粒子を試料とした。試料は0.5μl注入し、1μl容量の耐圧セルを持つ紫外分光光度計で検出した。 アルコール、ヘキサン、アセトン、ベンゼンをトレーサー物質として、分離部細管における平均滞留時間(流出時間)を求めた。石鹸液膜流量計による流量測定、超臨界二酸化炭素の物性値をもとにして、分離部細管径を185μmと決定した。 試料調製に用いる溶液に水を用いると、吸光度が不安定となることが判明した。そこでメタノールを分散媒とし、超音波洗浄器を用いて強制分散させた溶液を試料とした。 超臨界流体溶寛液下での微粒子の流出特性曲線の特徴は、粒子の流出を示す吸光度のピーク後に、吸光度が元のベースラインまで低下しないことである。これは、粒子の一部がセル表面に吸着したためと推定される。特にメタノールに分散させたポリスチレンラテックス粒子では、この現象のため粒子およびメタノールの流出時間の特定が困魔な場合があった。 粒子は分散媒物質より遅れて流出する。粒子の分散媒物質の流出時間の比で定義される保持比は、流速に依存した。排除効果を主要な分離原理とする考え方では説明できず、溶離液の二次流れの影響を受けていると推定される。また超臨界二酸化炭素流体中での粒子の凝集も考えられ、今後の検討が必要である。
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