研究課題/領域番号 |
04238214
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
中川 和道 神戸大学, 発達科学部, 助教授 (00134403)
|
研究分担者 |
江尻 有郷 東京大学, 教養学部, 助手 (70012383)
|
キーワード | 超臨界流体 / キセノン / アントラセン / イオン化ポテンシャル / 光電流スペクトル / 密度依存性 / シンクロトロン放射 |
研究概要 |
超臨界キセノン中に溶解したアントラセンのイオン化ボテンシャルをキセノン密度の関数として測定し、得られた結果を我々が関発したクラスターモデルで解析しアントラセン分子周辺のクラスター構造を推定する手法をさらに発展させることを目指して、(1)溶媒を他のアルゴン、クリプトンへと拡張し溶質もC_<60>などへと拡張する、(2)低温クライオスタットを試作する、(3)超臨界キセノン中に溶解したアントラセンの光電流スペクトルにあらわれる構造の起源を調べ、溶媒構造との関連を考察する、という3点に本年度の主な目的をおいた。 まず、備品購入したターボポンプを用いて超臨界ガス操作システムを作成したので測定が迅速となった。(1)では、C_<60>を300K・100気圧のキセノンと375K・約75気圧のクリプトン中に溶解させることを試みたが、検出可能な濃度は得られず、キセノン270K付近での実験の必要性が明らかになった。このため(2)では冷却ガスを吹き付けるタイプのクライオスタットを試作したが、ステンレス製の高耐圧光電流セルの熱伝達が悪いため温度の均一性が得にくいこと、1ピコアンペア以下の微小電流をクライオスタット外に取り出す際の絶縁の達成に問題があることが明らかになり、真空チャンバー中に大きめのコールドフィンガーを配置する従来の型のクライオスタットが有利であると結論した。次年度にその製作を行う予定である。 今年度の最大の成果は(3)の測定を分子研UVSORにおいてほぼ完結させたことである。この結果、光電流ピークの原因となる電子状態は光吸収ピークの原因となる電子状態と同一であることがほぼ明らかとなった。ピークのレッドシフトは高密度で飽和の様相を呈し、アントラセンを取り囲むキセノン原子のクラスターによるピークシフトとして取釈できそうであり、即刻論文にまとめる予定である。
|