数年前に金属間化合物およびセラミックスについて超塑性が見出され、研究が急速に進歩しつつある。しかし、金属材料に比べるとその研究の歴史は短く、未だ不明の点が数多く残されている。このような状況をふまえて、本研究では金属間化合物とセラミックスの超塑性の数似点と相違点を明らかにし、超塑性変形機構の理解を深めることを目的としている。 金属間化合物については、Ti_3Al、Ni_3Siなど多くの系について超塑性が見出されているが、現在までに報告されている最大伸びはTi_3Alに関する810%(1992年)である。一方、セラミックスについては正方晶ジルコニア多結晶(TZP)の800%(1990年)がチャンピオンデータであった。研究代表者は、本年度TZP+SiO_2系について1038%の伸びを達成し、この記録を更新することに成功した。この成果はすでに国際学術法に公表済である。 巨大な伸びが達成される金属間化合物の多くは2相混合組織を有するものであり、微細結晶粒組織が比較的安定な材料である。また、金属間化合物の超塑性には金属材料と共通する点が多い。例えば、ひずみ速度成受性指数の大きいこと、応力とひずみ速度の両対数プロセットが3つの領域に分れ、そのうちの中間ひずみ速度領域で高延性が達成されることなどである。セラミックスは、ひずみ速度感受性指数の大きいことが超塑性発現のための必要条件ではあるが十分条件ではないといわれている。また、応力とひずみ速度の関係は多くの場合単一の関係で記述され、金属あるいは金属間化合物とは異なっているようにみえる。これらの相違が本質的なものであるか否かは未だ明らかにされておらず、今後のより詳細な解析が待たれるところである。
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