研究分担者 |
高野 幹夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (70068138)
庄野 安彦 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80013481)
兒嶋 弘直 山梨大学, 工学部, 教授 (90020346)
川合 知二 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20092546)
内野倉 國光 東京大学, 工学部, 教授 (20015564)
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研究概要 |
本研究の目的は、(1)新物質、新組成の探索、(2)人工格子による新物質の設計と超伝導の検討、(3)合成プロセスと超伝導特性の研究を行うことである。(1)については高圧合成により新化合物Sr_<n+1>Cu_nO_<2n+1+δ>(n=1,2,3,4)を発見し、n=1のT_cは70K、n=2のT_cは100Kであった。これは頂点酸素が部分的に欠けている銅酸化物で、La系と比較するとT_cは高く、頂点酸素の役割について新しい問題を提起している。高圧合成により炭酸基を含むT_c=92Kの(Cu_<0.3>Sr_<0.7>)_3Cu_2O_<4+δ>(CO_3)_<0.95>の超伝導体を得た。(2)人工格子[(BaCuO_2)_3/(CaCuO_2)_1]×nがT_c=80Kの超伝導になることを見出した。無限層構造の人工格子で超伝導になったのはこれが初めてである。lユニットセルYBCOは超伝導を示さないが、その上に積層すると超伝導になる絶縁体として、BaO、SrO、SrTiO_3、CaTiO_3、PbTiO_3などを見出した。超伝導は、lユニットセルYBCOの上に直接2価のアルカリ土類金属やPbが積層したことで発現する。その酸化物とYBCOとの格子のミスマッチが5%以下であることが超伝導になる必要条件であることがわかった。またYBCOのnユニットセルとコスタリッツ・サウレス転移温度T_<KT>の関係を求め、理論通りのT_<KT>の変化を示した。無限層構造薄膜にキャリアドープを試みたが、超伝導化にはまだ成功していない。(3)分解し易い水銀系酸化物超伝導体(1212、1223相)は高圧処理により容易に合成でき、T_c=110Kであった。Bi2212系では過剰酸素から供給されるホールの全てがキャリアとはならず、Biが混合原子価状態になり自動的にホール量の調整を行っている。超伝導が現われない特異な組成として知られているLa_<1.875>Ba_<0.125>CuO_4は、過剰酸素をほとんど取り込まないが、電極酸化すると酸素は4.04となり、超伝導を示すようになる。単結晶La_<2-x>M_<x-n>CuO_4(M=Ba,Sr,Ca)のうち、Srは0.3まで固溶したものが育成できるが、Caは0.1、Baは0.1までしか固溶しない。
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