研究課題/領域番号 |
04240206
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
深瀬 哲郎 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90005900)
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研究分担者 |
花栗 哲郎 東北大学, 金属材料研究所, 学振特別研究員ーDC
後藤 貴行 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90215492)
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キーワード | 酸化物高温超伝導体 / La_<2-x>SrxCuO_4 / 超音波 / 磁束ピン止め / 磁束運動 / 格子軟化 |
研究概要 |
超伝導体内を伝播する超音波は、これによって引き起こされた磁束運動とその緩和を通じ結合し、磁束状態を反映した種々の変化が音速と減衰係数に現れる。また、磁束融解転移によるc_<66>モードの異常、磁束構造の相転移による音速のキンクと鋭い減衰ピークの出現などが期待される。 本研究はLa_<1.85>CuO_4単結晶について、結晶格子系のc_<11>、c_<33>、(c_<11->c_<12>)/2モードの超音波の音速と減衰係数の温度依存性を一定磁場中で磁場方向、磁場強度を変えて測定し、3種類の磁束の運動方向すべてについて磁束格子のピン止めによる寄与を抽出することに功成した。これをThermally Assisted Flux Flow(TAFF)モデルによって解析し、磁束の各運動方向に対するピン止めエネルギーUijを評価した.すなわち、結晶のc方向の磁束をa方向に動かすCA motionでUca(0)=93K(6T)、a方向の磁束をc方向に動かすAC motionでUac(0)=1140K(6T)、a方向の磁束をb方向に動かすAB motionでは,Uab(0)=201K(14T)であり、本質的ピン止めが効くAC motionで最も強いピンが観測された。磁束の融解の検証のため、磁束のずりにあたるc^f_<66>モードの実験をおこなったが、c^f_<66>はきわめて小さな量で、H 【less than or equal】 6Tまでの測定では有意な結果が得られなかった。測定精度の向上とハイブリッドマグネットによるさらに強磁場における実験が必要である。 ハイブリッドマグネットを用いた低温強磁場中の実験で、H//[001]における(c_<11->c_<12>)/2モ-ドとc_<33>モードの音速が低温においてソフト化とそれにつずくハード化という特徴的な温度変化を見いだした。この現象に関して、フェルミ面近傍に歪みに敏感な狭いバンドが存在する可能性、または磁束の不可逆温度において結晶格子の異常が出現する可能性を指摘した。
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