研究概要 |
高エネルギー研パレス中性子散乱施設KENSに設置されている高分解能粉末中性子回折装置HRPを用いて、以下の物質について結晶構造の研究を行った。La_<2-x>Ca_<1+x>Cu_2O_<6+z>(2126化合物)の超伝導体および非超伝導体砂料の構造を精密化し、高温超伝導がCa組成の高い試料で過剰酸素を導入することにより出現することを明らかにした。また,Baの一部をSrで置換したYBa_2Cu_4O_8(Y-124)の結晶構造を精密化し、マーデルング・エネルギーの計算からCuO_2平面およびCuO二重鎖上のホール分布を決定し、結晶構造とTcの関係を明らかにした。さらに,Bi_<2+x>Sr_<2-x>CuO_<6+z>(Bi-2201)の変調構造を複合結晶モデルで解析した。Pb-系超伝導体Pb_2Sr_2(Y,Ca)CU_3O_8(Pb-2213)のPbO-Cu-PbO層からPbO層が1枚欠損した超伝導体PbBaSr(Y,Ca)Cu_3O_<7+z>(Pb-1213)についても,酸素導入にともなうPbO-Cu層の構造変化および過剰酸素の位置を決定した。ボンド・バレンス和の計算から,この物質への酸素導入は、PbO-Cu層の金属元素の価数をPb^<2+>からPb^<4+>に,Cu^<1+>からCu^<2+>に変化させ,CuO_2平面へのホーム・ドーピングに寄与しないことを明らかにした。Y-123のCuO一次元鎖を(Pb,Cu)O面で,Y位置を蛍石型層(Ho,Ce)_2O_2で置き換えた(Pb,Cu)(Sr,Nd)_2(Ho,Ce)_2Cu_2O_<9-z>(Pb-1222),223構造をもつ(Ho,Ce)_2(Sr,Ba,La)_2Cu_3O_<8+z>,最近NTTで発見されたCO_3基を含む新しい超伝導体(Ba_<1-x>Sr_x)_2Cu_<1+y>O_<2+2y+z>(CO_3)_<1-y>の構造解析を行った。
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