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1992 年度 実績報告書

高温超伝導体における不定比性の制御と物性

研究課題

研究課題/領域番号 04240216
研究機関東京大学

研究代表者

上田 寛  東京大学, 物性研究所, 助教授 (20127054)

研究分担者 林 昭彦  東京大学, 物性研究所, 助手 (10228562)
キーワード酸化物高温超伝導体 / 不定比性 / 相分離 / 核磁気共鳴
研究概要

La_<2-x>MxCuO_<4+y>(M=Sr,Ba:0≦X≦0.1)において,Ar処理したものと高酸素圧処理したものについて,酸素量,相関係,超伝導性を検討した。結果,高酸素圧処理したものは過剰酸素を含み,すべて超伝導を示す。X≦0.04では低温で,過剰酸素を含む超伝導相と定比組成の半導体相に相分離していて,Sr,Baの置換により相分離は抑えられる。酸素量二相の量比から,超伝導相でのCuの平均原子価を見積ると,2.05以上のものは超伝導を示すことが分かる。また,この異常な相分離には,b軸の長さが関係している様にみえる。
Tl-2201超伝導体の場合,単相領域は金属の定比組成からずれた所に存在し,キャリアーの生成としては,酸素の下定比性のみならず,金属イオンの不定比性による電荷の不均衡が考えられる。この物質には正方のものと斜方晶相が存在するがTlがより欠損した領域で正方晶を示す。斜方晶は,La-214系のようなCuO_6八面体の傾きにより生じるものではない。核磁気共鳴実験からは,CuO_2での局所スピン帯磁率の特徴的温度変化,Cu-O結合軸方向でのナイトシフトの最大,反強磁性相関等,他の典型的高温超伝導体と共通の性質であるCu3dとO2P状態の強い混成が観測された。さらに,Tl-2201では,頂点酸素をとおしてのCuサイトとTlサイト間の超交換超微細相互作用の存在がはじめて観測された。これは,Cu3dと頂点酸素のO2S状態の混成すなわち共有結合性の存在を示している。
電子ドープ系の母体であるT'型(RE)_2CuO_4(RE:希土類金属)について反強磁性共鳴実験を行った結果,Eu_2CuO_4については共鳴が観測されなかった。固溶系における共鳴観測とμSR実験から,Eu_2CoO_4もまた反強磁性体で,内部磁場は約99KOe,ネール温度は約260Kであることが判明した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Yutaka UEDA: "Structural and Superconducting properties of oxygenated La_<-x>MxCuO_<4+y>(M=Sr,Ba;0≦x<0.1)" Physica C. 198. 237-246 (1992)

  • [文献書誌] Yohko FUJIWARA: "SUPERCONDUCTING PROPERTIES OF OXYGENATED La_<2-x>SrxCuO_<4+y>(0≦x≦0.06)" Physica C. 185-189. 577-578 (1991)

  • [文献書誌] Atsushi GOTO: "NMR Study of Metallic Thallic Oxides;Tl_2O_<3-δ>" J.Phys.Soc.Japan. 61. 1178-1181 (1992)

  • [文献書誌] Shinsaku KAMBE: "NMR Study of the Spin Dynamics in Tl_2Ba_2CuOy(Tc=85K)" Phys.Rev.B.

  • [文献書誌] Shinsaku KAMBE: "Evidence for Tranferred Spin Polarization at Apical O Site in Tl_2Ba_2CuOy" Phys.Rev.Lett.

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公開日: 1994-03-23   更新日: 2016-04-21  

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