二酸化炭素の活性化と化学的固定・変換

1992 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 04241106
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 村井 真二 大阪大学, 工学部, 教授 (00029050)
• 研究分担者: 堀 善夫 千葉大学, 工学部, 教授 (20114324) ; 坂田 忠良 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (40013510) ; 井上 祥雄 東北大学, 工学部, 教授 (50005518) ; 井上 祥平 東京大学, 工学部, 教授 (20010762) ; 池田 章一郎 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (90024364)
• キーワード: 二酸化炭素 / 金属錯体 / 電極 / 一酸化炭素 / 還元

研究概要

本研究は、炭素資源としての有効利用と環境負荷軽減の見地から、二酸化炭素の活性化と化学的固定・変換の新しい方法の開発を課題とし、種々のアプローチから研究を進めるものである。
二酸化炭素の活性化と化学的固定・変換の原理としては、二酸化炭素自身の活性化と、活性化された他の化合物による固定との両者があるが、本研究では前者を中心に研究を進めている。まず、活性化の方法としては、熱および光および電気をエネルギー源とし、原子・分子レベルで制御された金属原子およびその集団を分子反応場(触媒)として用いることとした。活性化に関与する反応場としては、典型金属化合物、遷移金属化合物、半導体、固体金属などを中心に検討した。
まず、典型金属による反応場として、アルミニウムポルフィリン錯体を触媒とすることにより、可視光照射下、二酸化炭素、メタクリル酸エステル、およびジアルキル亜鉛からマロン酸誘導体に合成に成功した(井上(祥平))。また、パラジウム錯体触媒を用いれば、二酸化炭素、ハロゲン化アルキル、およびアセチレンアルコールから環状炭酸エステルの合成が可能なことが明らかとなった(井上(祥雄))。酸化亜鉛一酸化銅系焼結体電極が二酸化炭素のエタノールへの電解還元に有効なこと(池田)、ニッケル電極を用いた高圧二酸化炭素の還元による一酸化炭素への変換の効率化(坂田)、ニッケル電極上での二酸化炭素の還元中間体として吸着一酸化炭素の生成(堀)などが明らかになった。さらに、二酸化炭素の還元反応に含まれる中間体である一酸化炭素を還元するための遷移金属触媒の開発(村井)にも前進が見られた。
このように、二酸化炭素の化学的固定・変換に関し種々のアプローチを行い、基礎的な重要知見が集積されつつある。

研究成果

• [文献書誌] 村井 真二: "Regioselective Incorporation of CO into Enamines by Reaction with a Rhodium-Catalyzed Hydrosilane and CO." The Journal of Organic Chemistry. 57. 2-4 (1992)
• [文献書誌] 村井 真二: "Rh-Catalyzed Reaction of N,N-Acetals with a Hydrosilane and Carbon Monoxide" Organometallics. 11. 3494-3495 (1992)
• [文献書誌] 村井 真二: "Converison of Alkenes to Enol Silyl Ethers of Acylsilanes by Iridium-Catalyzed Reaction with a Hydrosilane and Carbon Monoxide" Journal of American Chrmical Society. 14. 9710-9711 (1992)
• [文献書誌] 井上 祥平: "二酸化炭素の化学的固定の現状と生化学への期待" 生化学. 64. 624 (1992)
• [文献書誌] Masashi Komatsu,Takuzo Aida,and Shohei Inoue: "Novel visible-Light-Driven Catalytic CO_2 Fixation.Synthesis of Malonic Acid Deribatives from CO2,α,β-Unsaturated Ester or Nitril,and Diethylzind Catalyzed by Aluminum Porphyrins" Journal of American Chemical Society. 113. 8492-8498 (1992)
• [文献書誌] Masashi Komatsu,Takuzo Aida,and Shohei Inoue: "Novel visible-Light-Driven Catalytic CO_2 Fixation.Synthesis of Malonic Acid Deribatives from CO2,α,β-Unsaturated Ester or Nitril,and Diethylzind Catalyzed by Aluminum Porphyrins" Journal of American Chemical Society. 113. 8492-8498 (1992)井上 祥雄:
• [文献書誌] 池田 章一郎,伊藤 要: "人工光合成モデルとしの二酸化炭素の光電気化学還元" 太陽エネルギー (Journal of JSES). 19(1). 26-31 (1993)
• [文献書誌] 坂田 忠良: "半導体表面での電子移動" 日本物理学会誌. 47. 196-203 (1992)
• [文献書誌] A.Tsuneto,A.Kudo,N.Saito and T.Salata: "Hydrogenation of solid state carbonates" Chemistry Letters. 831-834 (1992)
• [文献書誌] A.Manivannan,K.Hashimoto,T.Sakata and A.Fujishima: "Time resolved electroluminescence measurements at an n-SiC/electrolyte interface by transient study" J.Phys.Chem.96. 7399-7403 (1992)
• [文献書誌] A.Kudo and T.Sakata: "Photocatalytic decomposition of N_2O at room temperature" Chemistry Letters. 2381-2384 (1992)
• [文献書誌] A.Kudo and T.Sakata: "Photocatalytic decomposition of N_2O at room temperature" Chemistry Letters. 2381-2384 (1992)堀 善夫: